講師とともに1冊の本をじっくりと読み、ともに議論し、考えを深めあうクラスです。
アシス・ナンディ(Ashis Nandy)の“The Intimate Enemy ? Loss and Recovery of Self under Colonialism”(「親密な敵―植民地主義のもとでの自己の喪失と回復」)
今年はインドの思想家(政治心理学者)アシス・ナンディの上記の名著、“The Intimate Enemy”を一緒に読むことにしました。1983年に発表されて以来、反響を呼び、版を重ね、すでに古典に数えられていると言っていいのに、私の知るかぎり訳書は出されていません。植民地主義の支配を通じて近代西欧(the modern West)というものが身体だけでなく精神(mind)をも植民地化し、帝国が没落しても「第二の植民地化」として精神を支配しつづけ、それが第一の植民地主義を正当化さえしている。この「親密な敵」への抵抗とはどのようなものか。ガンジー主義の系譜を継ぎつつ、ナンディはそれを歯切れよくインドに即して展開しますが、それは福島破局のなかで根本的総括を迫られている日本近代の問題性につながってくる議論でしょう。本文は約100ページ、文体は簡潔、明晰。2009年に、出版以来の25年を総括する後書きつきでOxford Indiaから出された版を使います。
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