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19. 他人事じゃない!―すぐそこにある軍事のリアル

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¥28,000

概要

わたしたちの多くにとって、「軍隊」は映画やゲーム、歴史小説の中や、どこか「ほかの国」についての報道に登場するものです。戦いの描写に戦慄したり、高揚したり、武器や戦闘機の性能を興味深くながめたりしながら、わたしたちは「軍事」におびやかされない日常に深く沈潜し、このような日常がいつまでも続くと信じきっているかのようです。他方、米軍や自衛隊の基地はすでにつねにそこにあり、「軍事」の危険と脅威を身近に感じながら生きている人たちもたくさんいます。わたしたちの税金を大量に投入し、最新の軍備を買い求めることに飽き足らず、「戦争ができるふつうの国」を目指してひた走るかのような自民党政権。戦争の足音が近づいてくるような不穏な動きの数々に、「戦前を思い出す」という述懐も多く聞かれるようになりました。世界ではいまこの瞬間も、いっそう洗練された技術によって、人びとが殺し、殺され続けているという現実。わたしたちは市民として、軍事にいかに向き合っていくべきなのでしょう? 技術革新とグローバリズムによって変容する「軍事」の最前線の実態と、軍事が社会およびそこに暮らす人びとにどのように作用しているかを学び、考えていきましょう。

●2014年5月~12月
●基本的に隔週月曜日 19:00~21:00
●全10回/定員30名

19. 他人事じゃない!―すぐそこにある軍事のリアル

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講座内容

◆ 5/19
はじめに なぜ世界から基地と軍隊がなくならない?

■川崎 哲(ピースボート 共同代表)


誰も戦争を望んでいないはずなのに、世界中に基地があり、今日も戦争が起きて、人が亡くなっています。それはなぜなのか? その背景を確認して、これから「軍事」について考えていく出発点にしましょう。

●主著:『核拡散 軍縮の風は起こせるか』岩波新書 2003/『イマジン9 想像してごらん、戦争のない世界を。』(共著)合同出版 2007

●参考文献:岩波書店編集部編『これからどうする 未来のつくり方』(共著)岩波書店 2013/嘉指信雄ほか編『終わらないイラク戦争 フクシマから問い直す』(共著)勉誠出版 2013
 

◆6/2
「安全保障の民営化」という現実

■ 菅原 出(国際政治アナリスト/危機管理コンサルタント)

現代の安全保障の世界では軍人と民間人の区別が曖昧になり、「戦争」はもはや軍人だけの仕事ではなくなっています。この現実を通して国際紛争のリアルな実像に迫ります。

●主著:『リスクの世界地図 テロ、誘拐から身を守る』朝日新聞出版社 2014/『秘密戦争の司令官 オバマCIAと特殊部隊の隠された戦争』並木書房 2013

●参考文献:菅原出『民間軍事会社の内幕』ちくま文庫 2010




◆ 6/16
アフリカの子ども兵問題
―現状、要因、そして私たちにできること
■小川真吾((特活)テラ・ルネッサンス 理事長)


アフリカの紛争に駆り出される子ども兵の現状、そして、なぜ、このような残虐な紛争が続いているのか、私たちにできることは何か?について、受講者の皆さんと考えていきたいと思います。

●『ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』合同出版 2012/『ぼくは13歳 職業、兵士。』(共著)合同出版 2005

●参考文献:小川真吾「アフリカ人の「選択の自由」を尊重する援助とは? 元子ども兵の社会復帰支援から潜在能力アプローチの可能性を探る」『グローバル協力論入門 地球政治経済論からの接近』法律文化社 2014/土佐弘之「破綻・脆弱国家の国際統治におけるジレンマ」『開発と平和 脆弱国家支援論』有斐閣ブックス 2009

 

◆6/30
兵役につくということ―韓国の事例

■ 韓 興鉄(翻訳業)


韓流アイドルの入隊でも話題になる韓国の兵役。現在は海外定住者でも兵役の対象になることがあります。兵役とは実際にどんなものなのか、韓国の若者にとって兵役とは何か、社会に与える影響などについて考えます。

●主著:『なるほど! これが韓国か 名言・流行語・造語で知る現代史』(共著)朝日選書 2006/石任生・安海龍『北朝鮮の日常風景』(訳書)コモンズ 2007

●参考文献:尹載善『韓国の軍隊 徴兵制は社会に何をもたらしているか』中公新書 2004




◆7/12(土) 
兵役につくということ―イスラエルおよび米国の事例

■ジグラー・ポール(淑徳大学国際コミュニケーション学部 教授/元海兵隊隊員)

戦場で「国防」の名の下で兵士がいかなる「任務」を遂行するか。その「任務」が終わり、兵士の心や記憶には何が残るのか。最近の米国を中心として行われている戦争やイスラエルの戦場において、青年兵士は何を目撃し、いかなる残酷的な行為を行っているのだろうか。なぜ彼らが兵士の掟である「沈黙」を破らざるを得ないのだろうか。映像と資料を中心に話を進める予定である。可能であれば「銃後」の世界と戦場の関係について受講者と一緒に考えていきたいと思う。
※映画『沈黙を破る』を上映します



 

◆9/8
自衛隊のリアル

■半田 滋(東京新聞 論説兼編集委員)


安倍政権は「積極的平和主義」を柱にした国家安全保障戦略を決定しました。憲法の柱である平和主義とはまるで違う、武力行使もあり、なのです。自衛隊はどう変わるのでしょうか。

●主著:『「戦地」派遣 変わる自衛隊』岩波新書 2009/『ドキュメント防衛融解 指針なき日本の安全保障』旬報社 2010

●参考文献:半田滋『3.11後の自衛隊 迷走する安全保障政策のゆくえ』岩波ブックレット 2012




◆9/29
米軍基地の実態

■布施祐仁(ジャーナリスト)


原発は、市民に真実を隠し、「安全神話」をつくることで成り立ってきたシステムでした。在日米軍基地にも、これと似た構造があります。69年間の在日米軍基地の歴史をひも解き、在日米軍基地と地位協定をめぐる「実像」に迫ります。

●主著:『日米密約 裁かれない米兵犯罪』 岩波書店 2010/『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』岩波書店 2012

●参考文献:布施祐仁『災害派遣と「軍隊」の狭間で 戦う自衛隊の人づくり』かもがわ出版 2012/布施祐仁『北の反戦地主川瀬氾二の生涯 矢臼別演習場のど真ん中で生ききった!』高文研 2009


 

◆10/6
軍事用無人機をめぐる問題と既存の国際的な規制枠組み

■夏木 碧(特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン ポリシー・オフィサー)

近年の軍事用無人機の普及に伴い、その政治的・軍事的・法的問題が浮上しています。この講義では、通常兵器に関する既存の国際的な規制枠組みを紹介しつつ、軍事用無人機をめぐる問題を解説します。

●主著:「見落とされる通常兵器移転の問題:武器貿易条約をめぐる歴史と課題」『外交フォーラム』第253号(2009年8月)70-74頁/「2012年7月・武器貿易条約交渉の経緯と今後の展望」『核兵器・核実験モニター』第410号(2012年10月)5-8頁

●参考文献:岩本誠吾「国際法から見た無人戦闘機(UCAV)の合法性に関する覚書」『産大法学』第45巻3・4号(2012年1月)134-153頁/榎本珠良「通常兵器の移転に関する国際規制の歴史と現状:冷戦終結後の進展とその限界」『軍事史学』第48巻第2号(2012年9月)4-21頁




◆10/20
あるべき「防衛」とは?―北朝鮮・中国脅威論に向き合う論理

■藤原秀人(朝日新聞 記者)


軍事費は年々増加し、多くの領土・海洋権益問題を抱える中国。核実験やミサイル発射実験など瀬戸際外交を続ける北朝鮮。日本にとって中国や北朝鮮はどの程度の「脅威」なのか。緊張関係が続く東アジアの隣国との冷静な向き合い方を考えます。

●参考文献:「陸から海へ―『予想内』だった防空識別圏の設定」『WEBRONZA+』2013年12月5日 朝日新聞社/「国有化で『尖閣問題』は解決しない」『WEBRONZA+』2012年7月18日 朝日新聞社
 

◆12/1
現実を変えるNGOの作法

■川崎 哲(ピースボート 共同代表)


平和を語ると「理想主義」、勇ましく軍事を語ると「リアリスト」。そんな風潮を排し、理想を掲げたリアリストになりましょう。軍縮NGOの経験をもとにお話しします。

●主著:『核拡散 軍縮の風は起こせるか』岩波新書 2003/『イマジン9 想像してごらん、戦争のない世界を。』(共著)合同出版 2007

●参考文献:岩波書店編集部編『これからどうする 未来のつくり方』(共著)岩波書店 2013/嘉指信雄ほか編『終わらないイラク戦争 フクシマから問い直す』(共著)勉誠出版 2013




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