講座内容
◆講師&コーディネーター:中野佳裕(国際基督教大学社会科学研究所助手・研究員) 国際基督教大学社会科学研究所助手・研究員。専門は社会発展思想、平和学。近年、脱成長や連帯経済の理論的研究を行っている。 ●共著:『脱成長の道─分かち合いの社会を創る』コモンズ 2011 ●翻訳書:セルジュ・ラトゥーシュ著『〈脱成長〉は、世界を変えられるか? 贈与・幸福・自律の新たな社会へ』作品社 2013/同著『経済成長なき社会発展は可能か?——〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』作品社 2010/ジャン=ルイ・ラヴィル著『連帯経済 その国際的射程』生活書院 2012 、など多数。 |
||
◆6/13 「新しい経済学」の展開(1):新しい社会運動から「もう一つの経済サミット」(TOES)まで 「新しい経済学」を構成する主要理論と主要な運動が形成されてきた歴史を、1960年代の「新しい社会運動」が起こった社会背景から、1970年代のオルタナティブ・テクノロジー運動やエコロジー運動の台頭、そして1980年代の「もう一つの経済サミット」(TOES)やニュー・エコノミクス・ファウンデーション(NEF)の設立までを概観して紹介します。 |
◆7/4 「新しい経済学」の展開(2):補完通貨運動から脱成長へ 1984年に開催された「もうひとつの経済サミット」(TOES)でカナダの補完通貨システムが紹介されてから、補完通貨はニュー・エコノミクス運動の中心的なツールとして世界中に普及し始めました。第2回目は、補完通貨の基本的考え方と実践例をいくつか紹介し、2000年代に入ってトランジション・タウンや脱成長運動などの新しいローカリゼーション運動へとつながってきた歴史を紹介します。 |
|
◆7/18 実践から学ぶ(1):トランジション・タウン ■ゲスト講師:平山 恵(明治学院大学国際学部 教員) ご自身もトランジション・タウン運動に関わっているゲスト講師から国内外の実践例を学びます。その中でトランジション・タウンの基本的な考え方と歴史もうかがいます。 |
◆8/8 「新しい豊かさ」とは何か?:所有中心から関係中心の豊かさへ 「新しい経済学」で議論されている「豊かさ」はどのようなものでしょうか。オルタナティブ・テクノロジーやエコロジー運動で議論されている「節度ある社会」「身の丈の経済」、補完通貨運動やトランジション・タウンで議論されている「関係の豊かさ」をキーワードに検討していきます。 | |
◆9/19 栃木県那須町を訪問する 実践から学ぶ(2):非電化工房が実践するオルタナティブ・テクノロジー 適正な技術を用いた非電化家電を制作する実践者(非電化工房)のアトリエを訪問します。道具を手作りし、手足を使い、技を磨くことを愉しむ、ホドホド便利でエコロジーな生活スタイル。「早い・快適・便利」とは異なる新しい豊かさを肌で感じてください。 |
◆10/24 実践から学ぶ(3):国内外の豊かな地域づくり—地域の課題を地域社会全体で取り組む ■ゲスト講師:大江正章(コモンズ代表/PARC共同代表) 地域の資源を活かし、住民たちの地道な話合いと協働で小さな生業を生み出す内発的発展のモデルを紹介する。そこには地に足がついた連帯経済と民が担う公共の萌芽が見られる。 ●主著1:大江正章『地域に希望あり--まち・人・仕事を創る』 岩波新書 2015 ●主著2:『政治の発見(7)守る——境界線とセキュリティの政治学』(共著)風行社 2011 ●参考文献1:大江正章『地域の力——食・農・まちづくり』岩波新書 2008 ●参考文献2:小田切徳美・藤山浩『地域再生のフロンティア——中国山地から始まるこの国の新しいかたち』(共編)農山漁村文化協会 2013 |
|
◆11/28 国際社会の議論:分かち合いの社会を目指す様々な国際的議論の紹介 ピケティの主張する格差社会の克服や、経済成長主義を克服するための脱成長運動、社会的連帯を再生する連帯経済運動など、様々な国際的な議論を紹介します。 |
◆12/19 現代日本の課題〜新しい経済学を実践する〜 現代日本で新しい経済学を実践していくために、わたしたちは市民としてどのような行動をとっていけばよいか。多様な文脈をすり合わせる「対話」の文化の成熟と市民主体の経済の発達を考えてみましょう。 |