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13. 「新しい経済学」と「豊かさ」を学ぶ—ローカリゼーション運動の理論と実践から

募集状況: 受付中

¥23,000

概要

現在、持続可能な社会を目指して、地域に根差した生活を取り戻す「ローカリゼーション運動」が世界各地で広がっています。これらローカリゼーション運動の世界的な普及にはオルタナティブ・テクノロジー、ニュー・エコノミクス、補完通貨など、1970年代以降に市民派経済学者たちによって提案されている「新しい経済学」の影響も大きくあります。このクラスでは、「新しい経済学」の主要理論を学ぶとともに、脱消費主義的な地域経済をつくる運動、エネルギー消費を抑えたライフスタイルの実践例などを学ぶことで理論と実践の双方からローカリゼーション運動の理解を深めます。
より大きく、より多くを浪費する生活から、より小さく、より少なくを消費する暮らしに戻したとき、これまでとは違った「豊かさ」のあり方が見えてきます。


●Q1●このクラスを受講すると、「豊かさ」や「新しい経済学」に関してどのような知識が身につきますか?


●A1●19世紀のフランスの画家ゴーギャンの作品に、「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」という題の絵があります。わたしたちの暮らしを支える経済や社会は、様々な制度や思想が複雑に絡みあって成り立っていますが、歴史を振り返りながらその成り立ちの基本となる考え方をおさえていけば、全体像を適切に把握できるようになります。この講義で中心的に検討していく考え方は「豊かさ」についてです。産業革命以来、人類が求めてきた「豊かさ」がどのような考え方に基づいていたのかを知ることで、その特徴と限界が見えてきます。そして、20世紀後半以降に世界各地で議論されている「新しい経済学」の焦点もはっきりと見えてきます。

●Q2●クラスはどのような進め方になりますか?


●A2●全体的に、歴史的な流れを学ぶことを重視しています。人間は歴史の中で生きており、過去の出来事を学びながら現在を見つめ直し、同時代を生きる人々と協力して未来をつくっていきます。この講義で学ぶ理論や実践は、いずれも抽象的なものではなく、常に歴史を鏡としながら学んでいきます。その上で、理論は主に座学形式で学んでいきます。その際、講師が一方的に内容を伝達し、受講生が聴講するという形式をとるのではなく、グループディスカッションをしたり、絵画のもつ寓意を解釈したり、演劇や音楽の手法を取り入れたりしながら、理論や理論の中のキーワードの意味を、五感を通じて考えて行きます。理論の学習で重視されるのは、五感を通して言葉の意味を感じとり、受講生全員とのディスカッションを通して、最終的には五感で感じたことを「言葉で表現していく=言語化していく」というプロセスです。実践に関しては、ゲスト講師と共に日本の現場を訪れながら、日本国内での可能性を考えてもらいます。その際も、現場の特殊な事例を見学して満足するのではなく、それを大きな歴史的な流れの中で理解していくことが重視されます。


●Q3●初めて「脱成長」や「ローカリゼーション運動」について学ぶ人でも、ついていける内容ですか?


●A3●内容自体は初学者でも充分に理解できます。むしろ、ディスカッションやグループワークなど、受講生同士の対話を通して学んでいく予定ですので、発想や表現力を自由に駆使して言葉のキャッチボールをみんなでおこなう気持ちで望んで頂ければ幸いです。



●2015年6月〜12月
●原則として土曜日 14:00〜16:00
●全8回/定員20名
●受講料:23,000円
※出かける回は交通費・食費などが別途かかります。

この講座のPDFはこちらからダウンロードできます。
全講座の掲載されたパンフレットのPDF版はこちらからダウンロードできます。(約36MB)


13. 「新しい経済学」と「豊かさ」を学ぶ—ローカリゼーション運動の理論と実践から

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講座内容

◆講師&コーディネーター:中野佳裕(国際基督教大学社会科学研究所助手・研究員)
国際基督教大学社会科学研究所助手・研究員。専門は社会発展思想、平和学。近年、脱成長や連帯経済の理論的研究を行っている。
●共著:『脱成長の道─分かち合いの社会を創る』コモンズ 2011
●翻訳書:セルジュ・ラトゥーシュ著『〈脱成長〉は、世界を変えられるか? 贈与・幸福・自律の新たな社会へ』作品社 2013/同著『経済成長なき社会発展は可能か?——〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』作品社 2010/ジャン=ルイ・ラヴィル著『連帯経済 その国際的射程』生活書院 2012 、など多数。


◆6/13
「新しい経済学」の展開(1):新しい社会運動から「もう一つの経済サミット」(TOES)まで

「新しい経済学」を構成する主要理論と主要な運動が形成されてきた歴史を、1960年代の「新しい社会運動」が起こった社会背景から、1970年代のオルタナティブ・テクノロジー運動やエコロジー運動の台頭、そして1980年代の「もう一つの経済サミット」(TOES)やニュー・エコノミクス・ファウンデーション(NEF)の設立までを概観して紹介します。


 

◆7/4
「新しい経済学」の展開(2):補完通貨運動から脱成長へ

1984年に開催された「もうひとつの経済サミット」(TOES)でカナダの補完通貨システムが紹介されてから、補完通貨はニュー・エコノミクス運動の中心的なツールとして世界中に普及し始めました。第2回目は、補完通貨の基本的考え方と実践例をいくつか紹介し、2000年代に入ってトランジション・タウンや脱成長運動などの新しいローカリゼーション運動へとつながってきた歴史を紹介します。


◆7/18
実践から学ぶ(1):トランジション・タウン

■ゲスト講師:平山 恵(明治学院大学国際学部 教員)

ご自身もトランジション・タウン運動に関わっているゲスト講師から国内外の実践例を学びます。その中でトランジション・タウンの基本的な考え方と歴史もうかがいます。



 
◆8/8
「新しい豊かさ」とは何か?:所有中心から関係中心の豊かさへ


「新しい経済学」で議論されている「豊かさ」はどのようなものでしょうか。オルタナティブ・テクノロジーやエコロジー運動で議論されている「節度ある社会」「身の丈の経済」、補完通貨運動やトランジション・タウンで議論されている「関係の豊かさ」をキーワードに検討していきます。


◆9/19
栃木県那須町を訪問する
実践から学ぶ(2):非電化工房が実践するオルタナティブ・テクノロジー



適正な技術を用いた非電化家電を制作する実践者(非電化工房)のアトリエを訪問します。道具を手作りし、手足を使い、技を磨くことを愉しむ、ホドホド便利でエコロジーな生活スタイル。「早い・快適・便利」とは異なる新しい豊かさを肌で感じてください。

 
◆10/24
実践から学ぶ(3):国内外の豊かな地域づくり—地域の課題を地域社会全体で取り組む

■ゲスト講師:大江正章(コモンズ代表/PARC共同代表)

地域の資源を活かし、住民たちの地道な話合いと協働で小さな生業を生み出す内発的発展のモデルを紹介する。そこには地に足がついた連帯経済と民が担う公共の萌芽が見られる。

●主著1:大江正章『地域に希望あり--まち・人・仕事を創る』 岩波新書 2015
●主著2:『政治の発見(7)守る——境界線とセキュリティの政治学』(共著)風行社 2011
●参考文献1:大江正章『地域の力——食・農・まちづくり』岩波新書 2008
●参考文献2:小田切徳美・藤山浩『地域再生のフロンティア——中国山地から始まるこの国の新しいかたち』(共編)農山漁村文化協会 2013

◆11/28
国際社会の議論:分かち合いの社会を目指す様々な国際的議論の紹介

ピケティの主張する格差社会の克服や、経済成長主義を克服するための脱成長運動、社会的連帯を再生する連帯経済運動など、様々な国際的な議論を紹介します。

 
◆12/19
現代日本の課題〜新しい経済学を実践する〜


現代日本で新しい経済学を実践していくために、わたしたちは市民としてどのような行動をとっていけばよいか。多様な文脈をすり合わせる「対話」の文化の成熟と市民主体の経済の発達を考えてみましょう。

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