講座内容
◆ 差別のメカニズムを理解する―「排除」の恐怖と「同化」への欲望 ■小森陽一(東京大学大学院総合文化研究科 教授) 人間の社会的な共同体の中で、その成員が相互に暴力を行使仕合うような状況を回避するために、特定の個人あるいは集団を恣意的に差別化し、そこにだけ暴力を集中することによって共同体全体を安定させる作用を、ヘイトスピーチは悪用している。 ●主著:『死者の声、生者の言葉―文学で問う原発の日本―』新日本出版社 2014●参考文献:小森陽一『思考のフロンティア―レイシズム』岩波書店 2006 | ◆6/10 ヘイトデモに向かわせる心情とデモの現状―新大久保や鶴橋で何が起きているのか ■安田浩一(ジャーナリスト) 新大久保や鶴橋などのコリアンタウンで近年激しく行われてきた反韓デモはどのようにして組織され、どのような人びとが参加しているのか。また人びとをヘイトデモに駆り立てるものは何なのか。 ●主著:『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』講談社 2012/『ヘイトスピーチとネット右翼』(共著)オークラ出版 2013 | |
◆6/28 午後 東京・新大久保を訪ねる ヘイトスピーチを受ける街と人びと 日本中から多くの観光客や買い物客が訪れるコリアンタウン、新大久保。近年この地で度々行われている在日コリアンを標的にした激しいヘイトデモに対して、当事者の人びとはどのように対応してきたのか。直接現地でお話を伺います。 |
◆7/22 表現の自由を守るためにヘイトスピーチを処罰する―国際社会はなぜこう考えるのか ■前田 朗(東京造形大学 教授) 本講座の表題はヘイトスピーチという言葉ですが、今の日本で起きている事態はヘイトスピーチなのかを問うことから始める必要があります。ヘイトスピーチという言葉によって事柄の本質が隠蔽されかねません。まずヘイトクライムを理解することによって、法律的議論が可能になります。 ●主著:『人道に対する罪』青木書店 2009/『国民を殺す国家』耕文社 2013 ●参考文献:前田朗『増補新版ヘイト・クライム』三一書房 2013/前田朗編『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』三一書房 2013 |
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◆9/9 国際社会はレイシズムやヘイトスピーチとどう向き合ってきたのか ■師岡康子(弁護士/外国人人権法連絡会) 差別を禁止する国際人権諸条約はどのような経緯で形成されたのか、また、イギリス、オーストラリアなどいくつかの国の例から、国際社会がどのように人種差別と向き合ってきたのかを学ぶ。 ●主著:『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書 2013/『なぜ今ヘイト・スピーチなのか』(共著)三一書房 2013 ●参考文献:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書 2013/エリック・ブライシュ『ヘイトスピーチ 表現の自由はどこまで認められるか』明石書店 2014 |
◆10/7 アメリカ社会が今も抱える人種差別の問題―公民権運動で社会はどう変わったのか。 ■明戸隆浩(関東学院大学他 非常勤講師) 公民権運動を経験したアメリカは、多様な人びとの権利が保障される社会になったが、今もマイノリティに対するヘイトクライムが途絶えていない。アメリカ社会の変化と今も抱える人種差別の問題についてお話しします。 ●共著:『ナショナリズムとトランスナショナリズム』法政大学出版会 2009 ●参考文献:エリック・ブライシュ(明戸隆浩ほか訳)『ヘイトスピーチ 表現の自由はどこまで認められるか』明石書店 2014 |
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◆10/28 「差別は私たち全員の問題」―「東京大行進」の後に何ができるのか ■加藤梅造(ロフトプロジェクト) 日本での排外主義的運動に対抗すべく立ち上がった「差別撤廃 東京大行進」は、どのように組織され、どんな人びとが参加したのか。人種差別の撤廃をめざしてこれからも声を上げ続けるために何ができるのか、共に考えます。 |
◆11/18 レイシズムやヘイトスピーチを乗り越えるために――のりこえねっとの取り組み ■辛淑玉(のりこえねっと 共同代表) 2013年度、確認できただけのヘイトデモは、北海道から沖縄まで360件以上。捏造パネル展などをいれると500件以上になる。彼らは「愛国無罪」のように安心して憎悪をまき散らす。 ●主著:『その一言が言えない、このニッポン』七つ森書館 2013 ●参考文献:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書 2013/野間易通『「在日特権」の虚構:ネット空間が生み出したヘイト・スピーチ』河出書房新社 2013 |